Monday, 9 January 2017

'Le dessous de la carte'の解説者ジャン・クリストフ・ヴィクトルさんの追悼番組 - ARTE+7より

長年に亘り,世界の過去,現在,そして将来の展望を判りやすく解説してくれたヴィクトルさんが,昨年12月28日に逝去されました.毎週土曜日に放送されるヴィクトルさんの番組は多くの人に愛され(斯く言う私もその1人),若い世代にも多くのファンがいました.恐らく,このような,見た目はシンプルながら,内容のきわめて奥深い地理の授業は後にも先にも存在しないでしょう.残念でなりません.その豊かな学識と人間愛,偏りのない視点は,例えば,世界のメディアがトランプ次期大統領が打ち出したメキシコ国境に於ける壁の構築についてのみ報道していたとき,ヴィクトルさんは世界中に存在している「壁」をテーマに取り上げたことなどに示されています.



例えば,Googlemapの信憑性について... 2つの各国別の国境と国際版国境が存在しているのが判ります.
著作権法上問題有りですが,ARTE様お許しを.

接続地域によって異なるGooglemapの国境表示.
同上
では,国際版は全く問題ないかというと,そうでもありません.bingmapとの比較で判るように,Googlemapの国際版(maps.google.com)では,国連も国際司法裁判所も承認していないクリミア半島のロシアへの併合を認めています.
誤って表示した国境が問題の種となったこともありました.2010年のニカラグアとコスタリカが領有権を争っているIsla Portillosをニカラグア領に組み入れてしまったために,同国の軍隊が進駐する事態へと発展させてしまったのです.
最後に,追悼番組の1時間5分ごろから放送された,ヴィクトルさんの最後の旅行先となった千島列島についての番組は,日本でかつて同様の内容の番組が一度でも放映されたか疑問を持つ程のプレゼンテーションです.フランス語,あるいはドイツ語がお判りになる方には視聴をお薦めします.

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