Saturday, 14 January 2017

滅私奉公の国 (ドイツ語, フランス語, イタリア語)

この記事を読んだスイスの方から,「おまえは大丈夫か?」という連絡を頂きました.このように'Karoshi'は,英語でも,フランス語でも,ドイツ語でも通じる国際語になりました.(すでに25年前,フランスで知り合った1人のスイス人学生は,この言葉を知っていました.)
イタリア語でも. 以前のポストで書いたように,私が通勤に利用している田園都市線の車両(8500系)は,乗車率が200%の場合,かつてナチスが支配地域のユダヤ人たちを強制収容所に搬送したときに使ったG10形有蓋貨車と殆ど同じ人口密度です.多くの方は,そうした状況に毎日身を置き,少なくとも定年迄人間の生け簀のような高いビルの中で働き続けるわけです.そして,その中には自殺も含め,過労死で亡くなる方がいるということは本当に残念なことです.もはや『収容所群島』というより『最終処分場列島』('Vernichtungsarchipel')と言った方がより的確かと思います.

楠木正成が語った「七生報国」の精神は,明治政権のイデオローグだった井上毅によって国民全員が持つべきものとされました.明治政府の四民平等とは国民(少なくとも男子)全員が武士,つまり軍人になるための改革だったのです.(教育勅語は竹橋事件の発生を受けて山形有朋が作成した軍人勅諭の子供版に他なりません.)自由民権運動においても,少なくとも初期にその指導層を形成していた士族たちの意識も変わりませんでした.つまり,国権が民権に優先することには変わりなかったのです.そうした封建的な精神の支配から私たち日本人は今だに抜け出せないでいるのです.そして,明治維新を遂行した当時の鹿児島藩と長州藩は,300藩の中で最も封建的性格が強かったことも忘れてはならないことです.

日本の近代化とは有司専制の軍事国になることに他ならなかったのですが,その後,思想的にはそれが根本的に変化することもなかったのです.

No comments:

Post a Comment