以下,メリーランド州ベルリンのWorcester Preparatory Schoolを訪れたL'OBSの特派員からの報告です.
学校の門には訪れる人を撮影するカメラ.施設内に中に入りたければ,インターフォンを通じて訪問の意思を伝えます.今回,校長先生に付き添われて訪れた教室は授業の真っ最中.小さな白版を膝に乗せた先生が生徒達に質問をしていました.そして,その白版をよく見ると,なんとこれは暴漢に襲撃された場合,銃弾よけに早変わりし,44口径マグナム弾も跳ね返すというすぐれもの.さらに生徒達のバックパックには,やはり専用の銃弾よけが収められていました.
2007年から2013年の間,アメリカでは平均で年間16件もの銃撃事件が発生していますが,そのうち1/4は学校の生徒たちを狙ったものでした.そして,2011年末以降,その数はさらに増加し,今や全米で2ヶ月の1度の割合で発生しています.
学校に対し,こうした銃撃に対する自衛策を提供するセキュリティー市場は今や急激に拡大しつつあり,すでにその規模は7億2千万ドル.その商品はというと,武装した警備員(公立学校の1/3が導入)から始まって,防弾毛布,防弾白板,防弾メモ帳,防弾下着(男の子用のアンダーパンツ),暴漢の侵入を防ぐドア封鎖装置,さらに銃撃がおきた場合,どこから発砲されたかを特定する電子システムなど.
そして,こうした道具の導入と平行して増えているのは,学校の緊急時の対応訓練. Worcester Preparatory Schoolでは,火災のために1ヶ月に1回,銃撃のために同3回から4回,爆弾による襲撃のために同2回の割合で実施されています.そのうち,ときには警察に協力を求め,より現実に近い状況をつくるために白色の銃弾を用いた訓練が行われることもあります.
また,別の地域の学校では,銃撃者に対し投げつけることができるように,子供たちにスープの缶詰が配られたことがありました.
こうした状況に鑑み,National Rifle Associationは教師が武器を携帯することを提案していて,例えばテキサスのいくつかの学校ではその提案を受けいれて,教師に武器の携帯を許可しています.とはいえ,冷静に統計を眺めてみると,ストレス下では発射された弾の81%は標的からそれてしまうため,こうした提案はあまり意味をなさないというか,場合によっては生徒達をさらに危険にさらすことになります.また,これまでに学校で発生した銃撃事件を調べてみると,亡くなった人はほとんどの場合,3 mから4.5 mという至近距離から発射された弾を受けており,特に犠牲になりやすかったのは暴漢を取り押さえようとした教師であることが判っています.これらの統計を引用しながら,Hardwire Armor System社のPDG,George Tunis氏は自らが開発した前述の防弾白版の有効性をアピールしていますが,同氏によると,この防弾白版はこれまで銃撃に使用された銃器のうち92%の銃弾を止めることができるそうです.ところで,Hardwire社は,オランダ製の特別なポリエチレンファイバーを使った軽量の防弾装甲をイラクやアフガニスタンで使用される装甲車両のためにペンタゴンに供給する契約を後者と結んでいたのですが,アメリカ軍のイラクおよびアフガニスタンからの撤退が決まったため,折角作った,その製造設備をビジネスで活かすことができず困っていたところ,このアイデアを思いついたそうです.
とはいえ,学校をさまざまな装置で"武装"することについて疑問を持つ人たちもいます.例えば,ドアをブロックする装置ですが,学校のセキュリティーに関するコンサルタントのKenneth Trump氏は,この装置が男子生徒が女子生徒を閉じ込め乱暴する目的で使われる可能性もあり,逆に危険であると指摘しています.また,全米教師連盟のRandi Weingarten代表はSandz Hookで銃撃事件が起きた翌日,次のように語っています.「NRAが,長い間,学校を訪れたことがないのは明白です.殆どの建物は複雑な形状をしており,出入り口も多数あります.NRAはすべての出入り口に警備員を置くことを求めているのでしょうか.建物のすべての部分,すべての階に?すべての教室のドアの前に?実際,Columbine High Schoolでは武装警備員は銃撃を止めることはできなかったし,Virginia Tchに配置されていた警官でさえ銃撃を防ぐことはできなかった.」
以上,Tableaux et bloc-notes pare-balles : le business des écoles blindéesからでした.
こうした報告を読むと,アメリカでは銃規制の強化は銃撃から生徒を守る手段の選択肢のうちには入っていないようです.
学校の門には訪れる人を撮影するカメラ.施設内に中に入りたければ,インターフォンを通じて訪問の意思を伝えます.今回,校長先生に付き添われて訪れた教室は授業の真っ最中.小さな白版を膝に乗せた先生が生徒達に質問をしていました.そして,その白版をよく見ると,なんとこれは暴漢に襲撃された場合,銃弾よけに早変わりし,44口径マグナム弾も跳ね返すというすぐれもの.さらに生徒達のバックパックには,やはり専用の銃弾よけが収められていました.
2007年から2013年の間,アメリカでは平均で年間16件もの銃撃事件が発生していますが,そのうち1/4は学校の生徒たちを狙ったものでした.そして,2011年末以降,その数はさらに増加し,今や全米で2ヶ月の1度の割合で発生しています.
学校に対し,こうした銃撃に対する自衛策を提供するセキュリティー市場は今や急激に拡大しつつあり,すでにその規模は7億2千万ドル.その商品はというと,武装した警備員(公立学校の1/3が導入)から始まって,防弾毛布,防弾白板,防弾メモ帳,防弾下着(男の子用のアンダーパンツ),暴漢の侵入を防ぐドア封鎖装置,さらに銃撃がおきた場合,どこから発砲されたかを特定する電子システムなど.
そして,こうした道具の導入と平行して増えているのは,学校の緊急時の対応訓練. Worcester Preparatory Schoolでは,火災のために1ヶ月に1回,銃撃のために同3回から4回,爆弾による襲撃のために同2回の割合で実施されています.そのうち,ときには警察に協力を求め,より現実に近い状況をつくるために白色の銃弾を用いた訓練が行われることもあります.
また,別の地域の学校では,銃撃者に対し投げつけることができるように,子供たちにスープの缶詰が配られたことがありました.
こうした状況に鑑み,National Rifle Associationは教師が武器を携帯することを提案していて,例えばテキサスのいくつかの学校ではその提案を受けいれて,教師に武器の携帯を許可しています.とはいえ,冷静に統計を眺めてみると,ストレス下では発射された弾の81%は標的からそれてしまうため,こうした提案はあまり意味をなさないというか,場合によっては生徒達をさらに危険にさらすことになります.また,これまでに学校で発生した銃撃事件を調べてみると,亡くなった人はほとんどの場合,3 mから4.5 mという至近距離から発射された弾を受けており,特に犠牲になりやすかったのは暴漢を取り押さえようとした教師であることが判っています.これらの統計を引用しながら,Hardwire Armor System社のPDG,George Tunis氏は自らが開発した前述の防弾白版の有効性をアピールしていますが,同氏によると,この防弾白版はこれまで銃撃に使用された銃器のうち92%の銃弾を止めることができるそうです.ところで,Hardwire社は,オランダ製の特別なポリエチレンファイバーを使った軽量の防弾装甲をイラクやアフガニスタンで使用される装甲車両のためにペンタゴンに供給する契約を後者と結んでいたのですが,アメリカ軍のイラクおよびアフガニスタンからの撤退が決まったため,折角作った,その製造設備をビジネスで活かすことができず困っていたところ,このアイデアを思いついたそうです.
とはいえ,学校をさまざまな装置で"武装"することについて疑問を持つ人たちもいます.例えば,ドアをブロックする装置ですが,学校のセキュリティーに関するコンサルタントのKenneth Trump氏は,この装置が男子生徒が女子生徒を閉じ込め乱暴する目的で使われる可能性もあり,逆に危険であると指摘しています.また,全米教師連盟のRandi Weingarten代表はSandz Hookで銃撃事件が起きた翌日,次のように語っています.「NRAが,長い間,学校を訪れたことがないのは明白です.殆どの建物は複雑な形状をしており,出入り口も多数あります.NRAはすべての出入り口に警備員を置くことを求めているのでしょうか.建物のすべての部分,すべての階に?すべての教室のドアの前に?実際,Columbine High Schoolでは武装警備員は銃撃を止めることはできなかったし,Virginia Tchに配置されていた警官でさえ銃撃を防ぐことはできなかった.」
以上,Tableaux et bloc-notes pare-balles : le business des écoles blindéesからでした.
こうした報告を読むと,アメリカでは銃規制の強化は銃撃から生徒を守る手段の選択肢のうちには入っていないようです.
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