Saturday, 29 December 2012

ランツフートの結婚式 (Landshuter Hochzeit)

ドイツの作家,ハンス・カロッサ(Hans Carossa)が,そのギムナジウム時代を過ごしたランツフート(Landshut)で4年に一度開催される催しですが,2013年が前回の開催から4年目に当たります.今回の開催期間は,6月28日から7月22日までのおよそ一ヶ月間.トルコの脅威に対するキリスト教国の同盟を強固にする目的で,中世の末期1475年に行われたという,当時のバイエルン公の子息とポーランド王女の結婚式が再現され,その他,馬上槍試合などの様々な出し物が披露されます.カロッサの『若き医師の日々』では,主人公(カロッサ)が旧友たちとこのイベントを見物に出かけるシーンが描かれています.

公式サイト(英語)はこちら

プログラムのダウンロードはこちらです.(ドイツ語のみ)

なお,催しの舞台であるランツフートはもちろん,近隣の観光地のホテルのほとんどは開催期間中,すでに予約で一杯のようです.(7月1日にランツフートを訪れたとき,Goldene Sonneという宿屋の前を通りかかりましたが,入口に"Suchen Sie ein Zimmer, helfen wir Ihnen dabei."などと書かれた札が掛かっていました.「部屋をお探しならお手伝いいたします.」と言った意味でしょうが,果たして空き部屋があるかなど詳細は不明です.)

以下,ランツフートを訪れた折に撮影したスナップです.

目抜き通りの両側には見物席が設けられていて,すべて指定席.イベントごとに観覧券を購入します.向かって左から二番目の建物は市庁舎.中に案内所があります.

ギムナジウムの卒業式の後,カロッサが仲間たちと塔に昇った聖マルティン教会.

ハンス・カロッサ記念ギムナジウム
炎天下のパフォーマンス,本当にお疲れ様です.

Bachfest 2013 in Leipzig

バッハの代表的なオラトリオ作品を結びつけている,神学的,演出手法的,作曲技法的関連に焦点をあてた構成の音楽祭.2013年6月14日から23日までの開催期間中,バッハはもちろん,それ以外の作曲者の作品を通じて,生誕,受難,昇天というキリストの生涯が再現されます.

公式サイトは,こちらです.

プログラム(独/英)のダウンロードはこちらから.

Wednesday, 12 December 2012

ノルウェイ,エネルギー政策評価で世界第一位

スイスの日刊紙Neue Zürcher Zeitung電子版の記事Norwegens Strategie überzeugtによると,世界経済フォーラム(World Economic Forum)が公表した«Global Energy Architecture Performance Index Report 2013»のエネルギー政策のランキングにおいて,ノルウェイが105カ国中1位だったそうです.日本は25位,アメリカは55位でした.

このランキングは,評価対象となった国を,経済の成長および発展.環境への考慮,エネルギー安全保障など16項目で評価し,その結果に基づいたものです.例えば,経済成長の分野においては,物価,税,公的助成金,貿易収支などが評価対象とされています.

ノルウェイが第一位とされた理由は,複数の異なるエネルギーソースから安定した供給を得ていることに加えて,環境への影響が低く抑えられていることなどが挙げられています.

低いランキングに置かれているのは,環境保護という点で問題があるとされる新興国で,例えば,ブリックスに属する南アフリカ(59位),インド(62),中国(74)など.同じくブリックスに属するブラジル(21)やロシア(25)には,比較的高い順位が与えられています.

以下,一位から十位の国です.

  1. ノルウェイ
  2. スウェーデン
  3. フランス
  4. スイス
  5. ニュージーランド
  6. コロンビア
  7. ラトビア
  8. デンマーク
  9. スペイン
  10. イギリス

Tuesday, 11 December 2012

リヨン,第14回「光の祭典」

フランス第二の都市リヨンで,毎年この時期に開催されるおなじみの行事のウェブアルバムが,LEXPRESS誌電子版に掲載されていました.

ル・モンド版は,こちらです.

ロッキーマウンテンの蒸気列車

12月8日付電子版シュピーゲル誌のWestern-Romantik auf Schienen: Volldampf durch die Rocky Mountainsより.

アメリカのコロラド州デュランゴ(Durango)から,昔ゴールドラッシュで沸いたシルバートン(Silverton)までの41マイルの狭軌の上を,のんびりゆったり走る蒸気列車があるそうです.

ウェブアルバムは,こちらから.標高3000 mに敷かれた線路を進む列車の姿は,圧巻です.

そして,運行する鉄道会社Durango Trainのサイトは,こちらです.また,往事の面影を伝えるデュランゴホテルのサイトは,こちらから.

850歳を迎えるノートルダム大聖堂の写真

12月10日付のシュピーゲル誌電子版の記事Jubiläum von Notre-Dame: Paris feiert die "Schöne von der Seine"に,こちらのオンラインアルバムが掲載されていました.

Friday, 7 December 2012

人工衛星SUOMIが捉えた夜の地球

フランスの日刊紙ル・モンドの12月6日付ニュースレターの記事VOL DE NUIT – La NASA dévoile des clichés de la Terre illuminée dans la nuitに掲載された美しいビデオ映像です.


なお,記事の解説によると,大勢の人が住んでいる地域において,光が見えない箇所がありますが,そこには当然電気が通っていません.国際エネルギー機関によると,2011年現在,地球上には,およそ13億人もの人が電気無しで暮らしているそうですが,New York Timesのブログ,Dot Earthによると,その13億人とは,アフリカに暮らす人の60%,そして,アジアに暮らす人の20%だそうです.特に,印象深いのは,日本と同じショットに写っている朝鮮半島です.まばゆい光が溢れる南に比べ,北は暗闇の中に沈んでいます.ところで,記事のタイトルの"Vol de Nuit"ですが,サンテグジュペリファンならお気づきのとおり,彼の作品「夜間飛行」にかけているようです.

オスカー・ニーマイヤー氏の作品巡り

104歳で亡くなられた,ブラジルの世界的建築家オスカー・ニーマイヤー氏の作品のウェブアルバムが,12月7日付LEXPRESSの電子版に掲載されています.アルバムの閲覧は,こちらから.

Tuesday, 4 December 2012

オリエント・シルクロード・エクスプレスの旅

etravel.ch*1)が募集中の,カザフスタンのタシケントや,ウズベキスタンのサマルカンドやブハラ,そしてトゥルクメスタンのアシュガバート他を豪華列車に乗って14日間(2013年3月28日-4月10日)で巡る旅.参加は,二名からで,最も安いカテゴリーの値段は,9230スイスフラン(二名分,およそ82万円).チューリヒから列車の出発地アルマティまでの往復の航空券とビザの取得料も含んだ値段です.主催は,ドイツの旅行会社で,旅行中に使用できる言語は,フランス語かドイツ語.(別に,英語でも,十分に対応してくれるとは思いますが.)参加するには,ビザの関係で,恐らく,最低限スイスに住んでいる必要があると思われます.仮に,日本に住んでいても参加できるとしたら,自分でビザを取得することになると思いますが,詳細は,etravel.chへお問い合わせください.


*1) 閲覧するには,etravel.ch,または,eboutic.chに会員登録してある必要があります.

気候変動対策における日本の順位 58カ国中47位

スイス放送(DRS)のニュースサイトの12月3日付記事Schweiz beim Klimaschutz vorneより.

ドイツの民間の環境保護団体German Watchは,毎年,各国の気候変動対策のパフォーマンスの順位を公表していますが,先日,その最新版が,ドーハでの国連気候変動会議の開催に合わせて公表されました.この順位は,気候変動に影響を及ぼす物質の排出量が多い58カ国を,それらの排出量と傾向,再生可能エネルギーの普及率,さらにエネルギー政策などの項目を検証し,それぞれの評価を指数(Climate Change Performance Index)に置き換え,その指数を降順に並べたものです.(英語版報告書へのリンクはこちらです.)

今回の報告書によると,1位から3位までは該当国無し.つまり,この団体によると,検証対象国のすべてにおいて,十分な気候変動対策が採られていないというのです.それでも,順位の高い国をみてみると,やはり,デンマーク(4位=最高位),スエーデン(5位),スイス(7位),ドイツ(8位)など,ヨーロッパの国が目立ちます.特に前者は,排出量が確実に減少し続けていることや,関連の法整備が進んでいるとのことで,German Watchから高い評価を得ています.

そして,日本の順位はというと,昨年の43位から4位下がって47位.因みに,今年の43位は,アメリカになっています.中国は54位,ロシアは56位,最下位の61位は,サウジ・アラビアです.なお,ヨーロッパの国の中では,オランダが49位と,やや意外な感があります.また,カナダも58位と最下位から数えて4番目に位置付けられています.

Monday, 3 December 2012

カップルで暮らす男女の失業率が低い理由

先日ご紹介した11月28日付のブログポストLe couple, meilleur rempart contre le chômage ?が伝える,国立統計研究所(Insee)の仮説です.

まず,男性の場合,三つの理由が考えられると言っています.
  1. 高学歴の男性の方が,パートナーを見つけ易い.別の言い方をすると, 学歴の高い男性のほうが,女性に人気がある.そして,彼らの方が,比較的仕事も見つけ易い.
  2. パートナーと暮らしている男性の場合,子供を持っている確率が高い.そうなると,家族を養うためという,就職に対しての強い動機付けができる.
  3. 身体的になんらかのハンディを負っている男性は,そうでない男性に比べて,パートナー探しにおいても,就職においても不利.
ということだそうです.一方,女性については,パートナーと暮らす女性は,特に子供が居る場合は,専業主婦志向が高い.つまり,就労を希望していない.そのため,彼女たちは,自然と統計の母集団から排除されるため,全体の失業率は低く抑えられるのではなかろうかということだそうです.

Saturday, 1 December 2012

脱経済成長型社会とは

Arte+7で11月24日に放送された"Yourope"において,ヨーロッパ各地における脱経済成長型のライフスタイルの実践を試みる人々の姿がリポートされていました.以下,番組から得た情報をまとめてみました.

まず,番組の紹介文から.

ドイツ,バーデン・ビュルテンベルグ州の新しい知事ビンフリード・クレッチマン氏は,いずれ,自動車の生産量が減少するだろうと語ったそうですが,それは,経済成長との決別を意味する言葉でした.私たちは,経済成長無しでも生きられし,また,環境や生活の質などにおいて,それによる好ましい影響もあるという考えがあります.こうした,"Post-growth economy"=《経済成長後の経済》と呼ばれる考えは(フランスでは," décroissance",イタリアでは,"decrescia",英国では,"degrowth*),ヨーロッパを始め,世界各地でその賛同者を増やしています.彼らは,無限の経済成長は,有限の資源とは相容れず,また,人間の尊厳もグローバリゼーションの犠牲になっており,経済の論理を地域主体に戻す,ディグロバリゼーション("deglobalization"=《脱グロバリゼーション》)が必要と主張しています.そうした考えを具体化する試みをレポートします.

次に,番組内容から,脱成長型の生き方を知るために役立ちそうなヒントをいくつか.

国際脱成長会議
第三回目が,今年の9月にイタリアのベニスで開催されました.公式サイトは,こちらです.

脱成長型のライフスタイルを提案したり,実践している団体や地方自治体
  • cambiamo.org:イタリアのパビアに本部を持つ.主な活動は,地元の農家の余剰生産物を,既存の流通システムを通さずに消費者へ提供.自転車による発電で電力を賄ってのコンサートの開催など.
  • Transition Town:英国の団体.日本にも,いくつか関連団体がある模様.
  • Totnes:英国.公立のリサイクルセンターの運営など,町が一丸となって脱成長を実践している.地元のKing Edward VI Collegeでは,環境教育が盛ん.
  • Bristol:英国.ブリストル・パウンドという地域通貨を発行.
  • Earth Heritage:英国.
  • Murks-nein-danke.de:ベルリン在住のStefan Schriddeさんが立ち上げたブログ.Schriddeさんは,修理して長い期間使い続ける事ができる製品を使うことを提唱.
  • Repair Café:オランダ.オランダに50箇所がオープン.ボランティアによる機器の修理が行われている.まもなく,英国に第1号店がオープン予定.
  • La Décroissance:フランス,リヨンで発行されている新聞.

コロラド州ロングモント市,住民投票で水圧破砕によるシェールガス採掘に"No"

フランスの新聞Le Mondeの11月29日付電子版の記事"Graine de révolte au pays du gaz de schiste"によると,アメリカ大統領選挙が行われた11月6日には,アメリカ各地で住民投票が行われましたが,コロラド州ロングモント市(Longmont,人口8万)では,水圧破砕によるシェールガス採掘の禁止が住民投票にかけられました.結果は,59%対41%で,禁止と決定.

水圧破砕は,現在,シェールガスを採掘することができる唯一の方法ですが,岩盤を破砕するために高圧で地中に注入される多量に水に混ぜられた化学物質が地下水脈を汚染し,また,空中に多量のメタンガスをまき散らすため,フランスなどではすでに禁止されています.

ロングモント市では,複数のガス会社が,50万ドルの費用をかけてキャンペーンを行い,住民たちに対し,雇用の創出などの効果を掲げ,シェールガス採掘の禁止を住民投票にかけないように説得に務めましたが,彼らの目論みは失敗に終りました.

この結果を受けて,ガス会社は,取得済みの採掘権が侵害されるとして,法的な手続きをとる構えを見せています.また,ジョン・ヒッケンルーパー(John Hickenlooper)コロラド州知事も,採掘を管理する権限を持つのは州であり,ロングモント市を訴えると言っています.なお,同知事は,2010年の州知事選挙の際,ガス会社から76441ドルの寄付を受け取っていることが知られています.

ロングモント市における今回の住民投票は,2011年から始まった,シェールガス採掘の反対派の市民たちの活動の結果でした. 発端は,市内の中学校と水浴客で賑わう湖のそばで採掘が計画されたため,水圧破砕によるシェールガス採掘の環境への影響についてコロラド大学で研究が行われ,その結果,採掘現場から半径0.5マイル(805メートル)以内の住民は,基準値の5倍もの有害物質にさらされることが判明したことでした.その結果が,公開されるやいなや,たちまち8200もの署名が集まり,住民投票にかけられることになったのです.ロングモント市の住民投票の結果を受け,今や,雨後のタケノコのように採掘施設が建設されつつある近隣の地方自治体でも同様の動きが起こり始めています.

ところで,シェールガス採掘に対する反対の動きは,ロングモントに始まった訳ではありません.すでに,反対のキャンペーンのための映像が制作されており,例えば,Josh Foxは,ドキュメンタリー映画"GASLAND"のなかで,ペンシルバニア州ディモックにおいて,ガスの採掘が開始された後,水道から出る水が炎に包まれる様子を紹介しています.

また,マット・デイモンが主人公を演じる映画"Promised Land"も水圧破砕法の問題を描いています.



環境保護団体のSierra Clubなどは,2020年には,エネルギーにおける輸入依存からの脱却を政策目標に掲げるオバマ政権に対し,水圧破砕の実施について,より厳格な制限を設けるよう促して行くと言っています.