まずは,1番ゲージ(1:32)の模型から視て頂きましょう.
そして,こちらは本物の走行シーン.動輪直径は国鉄9600形と同じ1250mmで,最高速度も同形式と同じ65km/hです.そして,これも偶然なのか,車歴を見ると製造年も我らのキューロク君と同じ1913年なのです.思いがけない出会いに感涙.ただ,9600と異なり,領邦鉄道時代の形式名を見れば判るように旅客用タンク機です.(ドイツでは,何故かタンク機関車をテンダー機関車と呼ぶためのtですが.)
この何ともチャーミングなマシンを保有しているバイエルンローカル鉄道協会のサイトによると,残念ながら,現在,点検修理中(ボイラーは新品と交換)とのこと.なお,同じサイトの情報によると新たなシリンダーも届き,最近,空気溜の試験もパスしたとのことで,復活も間近かと思われます.同協会が運営する博物館は,今年5月から再開館されたので,ご興味のある方は近くにお越しの際にお寄りになるとよいでしょう.博物館についての詳しい案内のPDFファイルのダウンロードはこちらから.また,修理工事は医師で小説家ハンス・カロッサに所縁のあるランツフートの工場で行われています.
ところで,最初に視て頂いた模型の製造元のKM1社も独特の魅力を持った企業です.特に製造しているライブスチームの中ではLNR A4が目を引きました.お値段は,MWS込みで3.090,- €(=379,374.75 円). 日本まで送ってもらうとしても運送料はどの程度になるか... なお,70 083の1:32スケールモデルはすでに売り切れだそうです.そこで,HOゲージのモデルをクラークで見つけたので,衝動的に注文してしまいました.(届いたのは66号機で車歴は不明.ことによるとこちらの本の中で言及されているかもしれません.)
ところで,この何とも愛くるしい機関車の最大の特徴である炭庫の真ん中に空いている穴の目的ですが,元々の設計コンセプトが合理化,つまり乗務員の削減であったため,なんと機関助士がこの穴を通って客車に乗り移り車掌の勤めも果たすために設けられたものだったのです.実際に乗務された機関助士兼車掌の皆さま,ほんとうにお疲れ様でした!
数日もすると,やはりメモ用紙の上に載せておくのは,さすがにかわいそうに思えたので,カトーの直線レールを買ってあげました.
最後に,Wikipediaから得た情報によると,日本の鉄道開業当時,すべての機関車はこのような先輪一軸,動輪二軸だったそうです.つまり,日本の鉄道の創業期には,この70形のような形状の機関車が活躍していたということです.そのうちのひとつ150形は,1号機関車と命名され,神田から大宮へ移転した交通博物館に展示されています.