Tuesday 20 January 2015

旧東独でPegida運動が活発であることの5つの理由

以下は,1月6日付SPIEGELのMassenprotest in Sachsen: Fünf Gründe für Pegidas Erfolg in Dresdenの抄訳です.

  1.  イスラム系移民の増加への恐れ
    ミュンヒェン,ベルリン,ハンブルグ,あるいはエルツゲビルゲ地方の主ネーベルグでは,数ヶ月前から避難民のための居住施設の建設への反対運動が極右の人々が主導する形で行われています.昨年の秋には,ケルンでも「サラフィスト対フーリガン」の運動が町を席巻しました.また,ヴッパータールのムスリムの若者達がシャリア警察と背中に書いたベストを着て,夜,街中を練り歩き,道行く人々にイスラムの教えを説いたり,ディスコに入ろうとする若者に入らないように注意したりしているということがニュースで流されたことで,一層ムスリムの人たちへの反感を強めました.
  2. 保守的な風土
    ドレスデンは,市長がCDU(キリスト教民主同盟)の党員である数少ない大都市のひとつです.(25年来,ドレスデンの市長はCDU.)他の大都市,例えばケルン,ミュンヒェン,ハンブルグ,あるいはベルリンなどは,市長がSPD(社会民主党)であることから判るように左派が優勢で,その点でもPegida運動が盛り上がる環境ではありません.このように保守的な性格はザクセン州議会にも表れていて,右派のAfD(ドイツのための選択肢)は昨年の8月の選挙で10%の議席を獲得しました.また,昨年の選挙では議席を失った極右のNPD(国家民主党)も,その前の10年間,州議会で議席を維持しています.
  3. 極右に寛容
    ネオナチ,Sturm 34などによる外国人排斥が盛んな土地柄ですが,保守系の政治家たちは彼らの活動をほとんど黙認してきました.
  4. 旧東独が周辺化されているという不満
    戦後,東西に分裂する前はドイツ帝国の中心だったのに,今や,ドイツの中心は総ての面で西は移ってしまい,自分たちは忘れ去られているという不満が旧東独地域には存在しています.また,キリスト教会の影響力が比較的強い地域では,極右的な風潮は和らげられる傾向がありますが,旧東独においては,キリスト教会の影響力は強くありません.(主に共産圏だった故と思われます.とはいえ,旧東独に於いての再統一運動の中心は教会だったことも事実です.)
  5. ナチス贔屓との偏見への不満ドレスデンでは,毎年2月に極右の人々によるドレスデンへの空爆の記憶を忘れない為のデモンストレーションが行われますが,そのためにドレスデンは,ナチス贔屓であるとの偏見がドイツにおいて広がっています.Pegida運動に加わった人の中には,そうした偏見に対する不満を持っていた人も少なくなかったようです.彼らは,自分たちはナチスではない.しかし,この国の現状に対して不満を持っているのだと言っているそうです.
かくして,ドレスデンでPegida運動は誕生したのでした.

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