人間に対する一目惚れの経験はあったとしてももほや思い出せませんが,蒸気機関車に対しては50代半ばになった今でも時折経験しています.
最近,その対象となったのが,旧東ドイツ国鉄(DR)の65.10形タンク機関車です.ご参考迄に,下にWikipediaから借用した写真を掲載しますが,第二次世界大戦後,東ドイツ国鉄によって最初に開発された機関車(Neubaulok.=新規開発機)で性能的にたいへん優れた形式だったそうです.*1) なお,旧西ドイツ国鉄(DB)でも65形という同じタンク機が開発されており,両形式とも近郊旅客用タンク機の需要に応じるために開発されたもので同じ1'D2' h2タイプですが,外観を始め緒元において大きな差異があるため,事実上別形式と考えた方がよいでしょう.(戦後の東西国鉄の車両は仕様が異なり,この時期に改造されたものも含め総じて相当異なる外観を備えています.)製造量数は,前者が18両,後者は88両でした.
さて,この二つの65において最も目を引く違いというと65.10の並外れた全長です.DBの65の15,475 mmに比べDRの65.10は17,500 mm.狭軌とはいえ,日本の国鉄C11形が12,650 mmですから,それに比べて凡そ5 mも長く,また,同じく小型テンダー機のC56の14,325 mmよりも3 m以上も長いということになります.また,動輪直径も65の1,500 mmに比べ65.10は1,600 mm.国鉄D51形の1,400 mmを上回っているのは言う迄もありませんが,ドイツ帝国鉄道のテンダーミカド機41と同じサイズであり,帝国鉄道時代に開発製造された統一規格型(Einheitslok.)と呼ばれる形式のうちテンダー機も含めて4動軸機としては,2両しか製造されず,また実運用に供されることもなかった06形の2000 mmを例外とすれば最大です.そして,当然といえば当然ですが,65.10は水タンク,石炭庫の容量共にドイツのタンク機の中では最大を誇っています.具体的には,水タンクの容量は16.0 m3,そして石炭庫は9.0 tです.(因みに,水タンク容量における第2位はやはりDBの新規開発機の66の14.3 m3,石炭庫では同じくDB66と旧バイエルン国鉄のマレー式Gt 2x4/4(後の帝国鉄道96形)が同位で5.0 tでした.*2 なお,参考迄に66形もその番号から判るように旅客用タンク機ですが,1'C2' h2の3動軸機で,動輪直径はこちらも1,600 mmでした.*3))
最近,その対象となったのが,旧東ドイツ国鉄(DR)の65.10形タンク機関車です.ご参考迄に,下にWikipediaから借用した写真を掲載しますが,第二次世界大戦後,東ドイツ国鉄によって最初に開発された機関車(Neubaulok.=新規開発機)で性能的にたいへん優れた形式だったそうです.*1) なお,旧西ドイツ国鉄(DB)でも65形という同じタンク機が開発されており,両形式とも近郊旅客用タンク機の需要に応じるために開発されたもので同じ1'D2' h2タイプですが,外観を始め緒元において大きな差異があるため,事実上別形式と考えた方がよいでしょう.(戦後の東西国鉄の車両は仕様が異なり,この時期に改造されたものも含め総じて相当異なる外観を備えています.)製造量数は,前者が18両,後者は88両でした.
さて,この二つの65において最も目を引く違いというと65.10の並外れた全長です.DBの65の15,475 mmに比べDRの65.10は17,500 mm.狭軌とはいえ,日本の国鉄C11形が12,650 mmですから,それに比べて凡そ5 mも長く,また,同じく小型テンダー機のC56の14,325 mmよりも3 m以上も長いということになります.また,動輪直径も65の1,500 mmに比べ65.10は1,600 mm.国鉄D51形の1,400 mmを上回っているのは言う迄もありませんが,ドイツ帝国鉄道のテンダーミカド機41と同じサイズであり,帝国鉄道時代に開発製造された統一規格型(Einheitslok.)と呼ばれる形式のうちテンダー機も含めて4動軸機としては,2両しか製造されず,また実運用に供されることもなかった06形の2000 mmを例外とすれば最大です.そして,当然といえば当然ですが,65.10は水タンク,石炭庫の容量共にドイツのタンク機の中では最大を誇っています.具体的には,水タンクの容量は16.0 m3,そして石炭庫は9.0 tです.(因みに,水タンク容量における第2位はやはりDBの新規開発機の66の14.3 m3,石炭庫では同じくDB66と旧バイエルン国鉄のマレー式Gt 2x4/4(後の帝国鉄道96形)が同位で5.0 tでした.*2 なお,参考迄に66形もその番号から判るように旅客用タンク機ですが,1'C2' h2の3動軸機で,動輪直径はこちらも1,600 mmでした.*3))
細身のボイラー,東独国鉄特有のエプロン部の全面カバー,そして煙室上部のIfS形混合予熱器という外観のため,ボイラー側部のタンクがなければ同じく東独国鉄の新造テンダー機23.10(35.10)形と見間違えそうです.(以上3枚ともWikipediaの"DR-Baureihe 65.10"の項に掲載されている画像) |
実は,この機関車に一目惚れをするきっかけとなった写真は手元のドイツの蒸気機関車に関するある本*4)に掲載されていたものなのですが,著作権上ここでご紹介することができないので,例えばこちらの写真をご覧下さい.その美しく均整のとれた形状とタンク機ながらテンダー機並みの迫力がよくあらわれていると思います.また,ベルリン鉄道友の会のギャラリーにもその写真が掲載されていますが,こちらは長焦点のレンズで撮影されたものらしく,65.10の魅力的なロングボディーが残念ながらやや圧縮されて写ってしまっています.)
ところで,現存する65.10のうちの一台ベルリン鉄道友の会所有の65 1057が,このたび動態保存機として復活するため点検整備が行われることになりました.現在,ドイツではメインラインを走行する保存車両にも自動列車保安装置*5)の設置が義務付けられていますが,同機についてはそれが可能であるため,ベルリン鉄道友の会は再び動態保存機として復活させる決断をしたそうです.(ブラボー!詳しくはこちら(ドイツ語)をご覧下さい.)そこで,同団体では整備工事のための寄付を受け付けています.金額は100€からで日本からでもPayPalによる送金が可能です.(寄付の受付はこちらから.送金の際,"HU65 1097”とお書き添えください.)
なお,65.10の動態保存機としては,もう一両65 1049が残っていたのですが,残念ながら耐用期限前の2011年9月10日にさよなら運行が行われた後,復活の予定はないようです.
*1) Gerth, D., DEUTSCHE DAMPFLOKOMOTIVEN Baureihen 01 bis 99, Königswinter, 2011, p157
*2) Die Dampflokomotive-Technik und Funktion, Teil 3 Kurvenbewegliche Laufwerke, Bremsen, Lokomotiveausfüstung und Tender, Eisenbahn Journal Archiv, 3. Auflage, Fürstenfeldbruck, 1994, p78
*3) タンク機関車でも3動軸機まで含めれば,最大の動輪直径は,テンダー機に改造され,現在動態保存機として活躍している18 201の母体となった61形の2300 mmです.(18 201は3気筒の61 002の改造機ですが,もちろん三気筒で動輪直径も2300 mmのままです.現存する動態保存機の中で最速を誇るマシンです.)
*4) Gerth, D., DEUTSCHE..., Königswinter, 2011, p157
*5) 2012年12月1日より施行された新たな鉄道設備および運営規則(EBO)により動力車両への装着が義務付けられた新しい自動列車保安装置PZB 90.(一般にはIndusiと呼ばれている電磁誘導列車保安装置.ATSのようなものです.前掲二枚目の写真で○で囲んだ機器.Indusiの仕組みについてはこちらのページ(英語)が判り易く説明しています.もちろん,Wikipediaなどでも.)
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