申請後4ヶ月も待たされましたが、ようやくアルジェリア政府から滞在許可が発行され、出国後の再入国が可能になったため、休暇を過ごしに再びスイスに出かけました。 といっても、仕事の都合で僅か1週間ですが。
最寄のコンスタンティン空港からバーゼル・ミュールーズ空港(Euroairport Bâle-Mulhouse Freiburg)までの飛行時間は、ほぼ2時間。二重国籍(?)のこの空港からは、フランスにもスイスにも出ることができます。というわけでスイス側の出口を出たところでバーゼル駅行きのバスが待っていて、このバスに乗って駅までは、およそ15分程度の道のり。ところで、この空港内には、スイス国鉄(SBB=Swiss Federal Railway)の出張窓口があり、バーゼル発の列車の乗車券を購入することができます。その場合、空港からバーゼル駅までのバスの乗車券も含まれているので、別に購入する必要はありません。
今回の旅の目玉はなんといっても5月9日の母の日に合わせて運行されたレティッシュ鉄道のSL列車に乗ったこと。それから、クール(Chur)で開催されていたヘルマン・ヘッセの水彩画展とジャコメッティの絵画展、そして、ベルンではアルベルト・アンカー(Albert Anker)展を訪れることができました。ジャコメッティ というとあのやたらに細い、人の彫刻を思い出しますが、というかそれしか思い出せませんが、今回の絵画展は、そのジャコメッティ(Alberto Giacometti:1901.10-1966.1)のお父さん(Giovanni Giacometti:7. März 1868.3-1933.6) の作品展です。当初、父親と息子を同一人物と思い込んでいたため、彼がセガンティーニの友人だったこと、また、ゴッホの影響も受けていること、そして彼を通して間接的に日本の浮世絵の影響も受けていることを知り、少々意外に感じたものですが、父子と分かり、また別の驚きを覚えました。アンカー展は、日本でも開催されたようですが、もともとキリスト教の神学を学んだ人とのことで、こちらもゴッホにある意味で通じるところはあるのですが、その人生も画風もまったくゴッホと異なるように思えます。例えば、ゴッホが動なら、アンカーは静、また、前者が異端なら、後者は正統、そして孤独の中で自ら死を選んだゴッホと孫たちに囲まれ人生の最後の日々を家族と共に穏やかに過ごしたアンカー、等等...。少々単純すぎる対比ですが、同じように神学を学んだ二人の画家の違いはどこから来ているのでしょう。
天候には余り恵まれなかったものの、久しぶりに外に出られたことで、少々おおげさですが命の洗濯をすることができました。というと、アルジェリアの人たちに失礼かな...でも、こちらに戻ったら戻ったで、なぜか落ち着くのは、単にスイスに比べて物価が極端に安いということだけではなく、やはり住めば都で、知らない間にこちらの水や空気に馴染んでしまったということなのでしょうか。
1時間ほど歩いてたどり着くのは、プフェファース旧湯治場(Bad Pfäfers)旧修道院の建物。何でも、スイスで一番旧いバロック様式の建物だそうです。現在、中にはレストラン、歴史資料の展示室があります。たまたま、訪れた日は、《風景神話学》(Landschaftmythologie)についての展示が行われていたのですが、その内容がとても面白く、帰りに村の本屋さんで同学の提唱者クルト・デルングス(Kurt Derungs)氏の著作を求めました。
Derugns, K./Schlatter, C. QUELLEN KULTE ZAUBERBERGE Landschaftmythologie der Ostschweiz und Vorarlberg, Solothun, 2005, edition amalia
風景神話学(英語ではLandscape Mythologyと訳されています:cf.Wikipedia)とは、ケルトやキリスト教の文化の影響を受ける以前、古代ヨーロッパ(Derungs氏のフィールドは、東スイス)において平和な農耕母系社会を形成していた人々が自然を、その背後に潜む神秘的な力も含めてどのように理解していたかということを明らかにする学問分野です。つまり、身の回りの自然の景観を古代の人たちの目を通して眺める試みなのです。日本の柳田國男や折口信夫などの民俗学に通じるかも知れません。
母の日とあって、列車には手まわしオルガンのおじさんも乗り込み、列車が停車するたびにホームに降り立ち演奏をしてくれました。一日中手を廻し続けるとあって、相当体力が求められる仕事。笑顔で愛嬌をふりまき、子供たちにはオルガンの下の引き出しの中のキャンディをサービス。本当にご苦労様でした
お昼休みを過ごしたダボスの教会の玄関にいたわんちゃん。教会の中のご主人を待ちわびていたようすで、先に出てきた私に向かってさびしそうに鼻をならしました。写真をとらせてもらおうとそばに寄り、構図を決めた瞬間、上目遣いでこちらを見ながら大きな伸び。ほどなく出てきたご主人(地元の奥さんらしい)から笑顔で挨拶されました。"Grüezi!"(スイスのドイツ語圏で交わされる挨拶。"Grüss Gott"に相当。)
ところで、以前から疑問に思っているのですが、向こうから声をかけておきながら、こちらがそばに来ると、目の前であくびや伸び。犬でも猫でもよく目にする行動ですが、何を意味するのか未だにわかりません。
最寄のコンスタンティン空港からバーゼル・ミュールーズ空港(Euroairport Bâle-Mulhouse Freiburg)までの飛行時間は、ほぼ2時間。二重国籍(?)のこの空港からは、フランスにもスイスにも出ることができます。というわけでスイス側の出口を出たところでバーゼル駅行きのバスが待っていて、このバスに乗って駅までは、およそ15分程度の道のり。ところで、この空港内には、スイス国鉄(SBB=Swiss Federal Railway)の出張窓口があり、バーゼル発の列車の乗車券を購入することができます。その場合、空港からバーゼル駅までのバスの乗車券も含まれているので、別に購入する必要はありません。
今回の旅の目玉はなんといっても5月9日の母の日に合わせて運行されたレティッシュ鉄道のSL列車に乗ったこと。それから、クール(Chur)で開催されていたヘルマン・ヘッセの水彩画展とジャコメッティの絵画展、そして、ベルンではアルベルト・アンカー(Albert Anker)展を訪れることができました。ジャコメッティ というとあのやたらに細い、人の彫刻を思い出しますが、というかそれしか思い出せませんが、今回の絵画展は、そのジャコメッティ(Alberto Giacometti:1901.10-1966.1)のお父さん(Giovanni Giacometti:7. März 1868.3-1933.6) の作品展です。当初、父親と息子を同一人物と思い込んでいたため、彼がセガンティーニの友人だったこと、また、ゴッホの影響も受けていること、そして彼を通して間接的に日本の浮世絵の影響も受けていることを知り、少々意外に感じたものですが、父子と分かり、また別の驚きを覚えました。アンカー展は、日本でも開催されたようですが、もともとキリスト教の神学を学んだ人とのことで、こちらもゴッホにある意味で通じるところはあるのですが、その人生も画風もまったくゴッホと異なるように思えます。例えば、ゴッホが動なら、アンカーは静、また、前者が異端なら、後者は正統、そして孤独の中で自ら死を選んだゴッホと孫たちに囲まれ人生の最後の日々を家族と共に穏やかに過ごしたアンカー、等等...。少々単純すぎる対比ですが、同じように神学を学んだ二人の画家の違いはどこから来ているのでしょう。
天候には余り恵まれなかったものの、久しぶりに外に出られたことで、少々おおげさですが命の洗濯をすることができました。というと、アルジェリアの人たちに失礼かな...でも、こちらに戻ったら戻ったで、なぜか落ち着くのは、単にスイスに比べて物価が極端に安いということだけではなく、やはり住めば都で、知らない間にこちらの水や空気に馴染んでしまったということなのでしょうか。
毎度お世話になります。滞在地バード・ラガーツ(Bad Ragaz)の駅。
駅の正面から画面右手に伸びるのが駅前通り。
駅の正面から画面右手に伸びるのが駅前通り。
近所のギーセン公園(Giessen Parc)の池には水鳥の姿が。
村はずれから昔の温泉場まで4Km 程度、
タミナ川(Tamina)に沿って散歩道が整備されています。
タミナ川(Tamina)に沿って散歩道が整備されています。
1時間ほど歩いてたどり着くのは、プフェファース旧湯治場(Bad Pfäfers)旧修道院の建物。何でも、スイスで一番旧いバロック様式の建物だそうです。現在、中にはレストラン、歴史資料の展示室があります。たまたま、訪れた日は、《風景神話学》(Landschaftmythologie)についての展示が行われていたのですが、その内容がとても面白く、帰りに村の本屋さんで同学の提唱者クルト・デルングス(Kurt Derungs)氏の著作を求めました。
Derugns, K./Schlatter, C. QUELLEN KULTE ZAUBERBERGE Landschaftmythologie der Ostschweiz und Vorarlberg, Solothun, 2005, edition amalia
風景神話学(英語ではLandscape Mythologyと訳されています:cf.Wikipedia)とは、ケルトやキリスト教の文化の影響を受ける以前、古代ヨーロッパ(Derungs氏のフィールドは、東スイス)において平和な農耕母系社会を形成していた人々が自然を、その背後に潜む神秘的な力も含めてどのように理解していたかということを明らかにする学問分野です。つまり、身の回りの自然の景観を古代の人たちの目を通して眺める試みなのです。日本の柳田國男や折口信夫などの民俗学に通じるかも知れません。
建物の裏手。さらに奥に進むと断崖に挟まれた狭いタミナ峡谷の中に入ることができます。
1階にあるレストランの食卓
いよいよSL列車の入線
高原列車の旅
動輪についてはスポーク派です。
母の日とあって、列車には手まわしオルガンのおじさんも乗り込み、列車が停車するたびにホームに降り立ち演奏をしてくれました。一日中手を廻し続けるとあって、相当体力が求められる仕事。笑顔で愛嬌をふりまき、子供たちにはオルガンの下の引き出しの中のキャンディをサービス。本当にご苦労様でした
お昼休みを過ごしたダボスの教会の玄関にいたわんちゃん。教会の中のご主人を待ちわびていたようすで、先に出てきた私に向かってさびしそうに鼻をならしました。写真をとらせてもらおうとそばに寄り、構図を決めた瞬間、上目遣いでこちらを見ながら大きな伸び。ほどなく出てきたご主人(地元の奥さんらしい)から笑顔で挨拶されました。"Grüezi!"(スイスのドイツ語圏で交わされる挨拶。"Grüss Gott"に相当。)
ところで、以前から疑問に思っているのですが、向こうから声をかけておきながら、こちらがそばに来ると、目の前であくびや伸び。犬でも猫でもよく目にする行動ですが、何を意味するのか未だにわかりません。
客車も昔のものを使っています。夕方、終着駅ラントクアルト到着間近の車内。
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