Sunday 8 July 2018

素晴らしいドキュメンタリー,"ARTE Reportage - Afganistan : enfant de l'exil"

数年ぶりに,Arteが配信するこの番組を視ました.以前は,欠かさずに見ていたのですが,仕事の量が増えたことで,週末をゆっくり過ごすことができなくなったためです.内容は,祖国アフガニスタンからフランスへやってきた一人の少年の5年間を50分の番組の枠に凝縮したもので,主人公の少年は,移住幇助業者によってトルコ,ギリシャ経由でフランスへやってきます.彼は,最初,孤独や,故郷に母親を残したことに対する罪悪感にさいなまれ,なかなか社会に適合できません.しかし,支援団体や仲間の支えや励ましを得ながら,大学入学資格試験に合格し,大統領選挙にも投票します.そして,11年ぶりに故郷を訪ね,母親と再会します.特に印象的だったのは,彼が母親の膝枕で寝ながら,彼女と交わす会話のシーン.彼が1人でアフガニスタンを去ったことの責任を互いになすりつけあいますが,その二人の間に見えた後ろの壁に掛かる美しいアフガニスタンの刺繍の鳥の模様が印象的でした.

この番組を視て,これまでに勉強や仕事のために滞在した,いくつかの外国で出会った人たちのことを思い出しましたが,改めて気づかされたのは,見た目が貧しい国ほど,見えないところが豊かであるということ.それをつくづく感じたのは,パキスタンやアルジェリアなど,特にイスラム圏の国に滞在した折でした.今は,こうして大船渡で仕事をさせていただいておりますが,7年前の大災害によって多くの人命が失われると同時に社会そのものが破壊されたことで,経済的には確かに貧しくなってはいますが,逆に,敢えて言わせていただけるなら,この地域の見えないところが,以前に増して豊かになったのではないでしょうか.ここ2ヶ月間,当地で暮らした県外者として,そう感じています.横浜や,特に東京にはない,人間にとって普遍的にとても大切な何かが,ここにはあるように思えるのです.

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